東大医学部付属病院の研究不正疑惑が再燃 2015年と2016年の比較
東大医学部付属病院の研究不正疑惑で、
2015年の疑惑事件とこれまでに分かっている今回(2016年)の事件の比較
2015年
告発者:匿名A氏(個人?)
告発対象:論文84報
対象機関:東大(医学部付属病院)、大阪大、京都大など多数
疑惑内容:画像の切り貼り、流用が主
告発方法:インタネットで公開
結果:一部で不正が認められたものの、大半が不正認定されず
2016年
告発者:Ordinary_researchers(グループ?)
告発対象:論文11報
対象機関:東大医学部付属病院
疑惑内容:棒グラフやチャートで不自然な箇所が主
経過:東京大学で予備調査中
2015年の件ではインタネット上で不正疑惑が公表された後、新聞などでも取り上げられ、各大学で不正調査が始まった。
しかし、東大を含めたほとんどの大学では「疑義なし」として調査が終了された。
この結果を受けて、匿名A氏は
東大病院長のBBRCが捏造でないなら、この世に捏造論文など存在しないです。
小保方さんも無罪です。
森口さんも無罪です。
加藤茂明先生なんか絶対に無罪です。
とコメントし、その後も東大付属病院の研究倫理問題にコメントし続けた。
2016年の告発に匿名A氏が関わっているかは、現在のところ不明。
また、2016年の告発対象の11報の中に、2015年の告発対象の84報に含まれるものは無い。
しかし、東大付属病院のTK氏が責任著者(最終著者)となっている論文が両方の告発対象に入っている。
匿名A氏が言及していた東大病院長というのはTK氏(当時)の事である。
続報
東大医学部付属病院の研究不正疑惑が再燃 (続報2)
先ほどから投稿している、東大医学部付属病院の研究不正疑惑に関して。
東大医学部付属病院の研究不正疑惑が再燃 - 任期付き助教は、任期付き羊の夢をみるか?
東大医学部付属病院の研究不正疑惑が再燃 (続報1) - 任期付き助教は、任期付き羊の夢をみるか?東大病院の研究不正疑惑 続報3 ordinary_researchersの告発文の分析 - 任期付き助教は、任期付き羊の夢をみるか?
東大医学部付属病院の研究不正疑惑が再燃 2015年と2016年の比較 - 任期付き助教は、任期付き羊の夢をみるか?
今回の不正疑惑のある論文のリストと、2015年の匿名A氏の不正疑惑のある論文のリストを比較したところ、同じ人物(TK氏)が責任著者*1となっている論文が確認された*2。
J Biol Chem. 2001 Nov 2;276(44):41245-54. Epub 2001 Aug 31.
Mol Cell Biol. 1996 Jun;16(6):3074-84.
Biochem Biophys Res Commun. 2004 Oct 8;323(1):242-8.
Nat Genet. 2002 Feb;30(2):221-6. Epub 2002 Jan 30.
J Clin Invest. 2001 Oct;108(7):1001-13.
TK氏の名前(日本語表記)は今回の告発文中に責任著者として表記されている。
また、TK氏以外の2人の名前も今回の告発文中にはあるが、2015年のリストでは見つかっていない(調査洩れの可能性もあり)。
続報
東大医学部付属病院の研究不正疑惑が再燃 (続報1)
先ほど、東大医学部付属病院の研究不正疑惑の記事をアップロードした。
その記事で書いたとおり、去年(2015年)の1月頃にも東大医学部の付属病院での研究不正疑惑が話題となった。
この2015年の研究不正疑惑事件の告発人は「匿名A」氏であり、疑惑の内容は画像の切り貼りであった*1。
今回の疑惑の告発文には「Ordinary_researchers」と言う署名があり、告発人は複数人のグループであることが伺える。
このグループに匿名A氏が加わっているかは不明。
しかし、2015年の告発の詳細を紹介したサイトを参考にすると、2015年と今回の告発対象(論文)は全く別であるようだ。
論文著者(共著者など)として、2015年と今回の告発対象の両方の論文に関与した人物がいるかどうかはこれから調査したい。
*1:この2015年の告発対象には東大医学部以外から出された論文も多数含まれていた
東大医学部付属病院の研究不正疑惑が再燃
東大医学部付属病院の研究不正疑惑が再燃しているようだ。
告発内容(PDF、上昌弘氏のtwitter記事より引用)
東大の付属病院での研究不正疑惑は、匿名A氏が2015年1月ごろにネット上で大量の研究不正疑惑を告発した際に話題となったが、東京大学の調査により「問題なし」とされている。
しかし、前回の告発内容は画像の切り貼りが中心であったのに対し、今回はグラフなどの不信な点などが告発の大半を占めているようだ。
まだブログ主は、告発対象が同一の論文かどうかは確認が取れていないものの、東大の付属病院の論文作成体制が杜撰であることは明らかなようだ。*1
神戸理研と東大分生研の件が(一応)済んで以来、研究不正の話題は岡山大学が中心となっていたが、話題の中心はまた東大に戻ってくるかもしれない。
近いうちに続報+詳細記事をアップしたい。
節子、それは「進化」やない・・・
「進化」という日本語が出来たのは、明治時代のようだ。
「神経」や「自然」などの単語とともに、欧米語の翻訳語として作られた。
現在では、「コンピュータの進化」などと本来の意味を超えて
使われることのほうが多いかもしれないが、もともとは生物学の概念である。
「進化」の誤用で有名なのは、「ポケモンの進化」であろう。
一般に動物などでの「進化」とは、
長い時間(少なくても何十世代や何百世代)をかけて
少しずつ元の種から変化し、別の種になることを意味する。
同じ個体の劇的な変化は「変態」と言い、
ポケモンの「進化」は本来は「変態」と呼ばれるべきである。
コンピュータの劇的な変化も「進化」と表現されてしまうから、
ポケモンの変態も「進化」と呼んだほうがしっくりくるのかもしれないが・・・。
そんな本来の意味とは異なる使い方をされる「進化」という言葉だが、
今日もYahoo!JAPANのトップページで間違った(?)使い方をされていた。
悪性の顔面腫瘍で個体数が大幅に減少したタスマニアデビルは、非常に急速な遺伝子進化を通して絶滅の危機から立ち直りつつあるとみられるとの驚くべき研究結果が30日、発表された。
オーストラリアのタスマニア(Tasmania)島にのみ生息する、イヌほどの大きさの夜行性の肉食有袋類で絶滅危惧種に指定されているタスマニアデビルについて、20年前に顔面腫瘍が発生した前後の294個体のゲノム(全遺伝情報)を詳細に比較した結果、ほんの4~6世代の間に、7個の遺伝子に種全体に及ぶ適応進化が起きていることが明らかになった。7個のうちの5個は、哺乳類の免疫力とがんへの抵抗力に関連する遺伝子だ。(後略)
ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に発表された論文をもとにしたニュースだ。
新たな伝染性の病気の流行により、特定の遺伝子(アリル)を持ったタスマニアデビルの個体の割合が増えていると言う内容だ。
そして、その特定の遺伝子はこの病気に対する抵抗性を持っている可能性があり、この現象をネット記事では「進化」と表現している*1
しかし、この現象は「進化」というより「自然選択(選抜)」と呼んだ方が適切だろう。
元の論文を見ても「evolutionary response[進化的反応(変化)]」や「selection(自然選択)」と表現している。
確かに、自然選択は進化の過程の重要な一部ではあるが、
自然選択によって進化が必ず起きるわけではない。
「進化」と付いたタイトルをつけるのは、ミスリーディングだろう。
では、なぜ「進化」と付いたタイトルが作られたのか?
論文中では著者たちは「進化」という直接的な表現は避け、
慎重な表現をしているものの、取材中では「進化」という言葉をつかったようだ。
米ワシントン州立大学(Washington State University)のアンドリュー・ストーファー(Andrew Storfer)氏はAFPの取材に「タスマニアデビルは進化している」と語る。「特筆すべきことに、この進化は極めて急速だった」
米アイダホ大学(University of Idaho)のポール・ホーエンローエ(Paul Hohenlohe)氏によると、タスマニアデビルが「著しく急速に進化している」ことをこのデータは示しているという。
専門家であろう著者たちが、「進化」と「自然選択」の違いを理解していないとは考えにくい。
一般の人にも分かりやすいように「進化」と言う言葉を使ったのかもしれないが、
「進化」と言う言葉を使うことによって注目を集めようとしたのかもしれない。
この取材を元にネット記事が作られ、「進化」と言う言葉がタイトルに含まれるようになったのだろう。
いずれにしろ、このネット記事により「進化」と言う言葉に対する誤解がまた広がるかもしれない。
否、誤解ではなく、「進化」という言葉の「進化」かもしれない・・・。
*1:「遺伝子進化」や「適応進化」とも表現。
エサを貰おうとタッチスクリーンを触ったら、
シカゴの動物園にいるニホンザル。
チンチロリンハイボールを知らないカジノ研究者が、
こういうのを見ると、私としては溜息をつくしかないのですが、この商品を「プロモーション」と称して平気で掲げている店が普通に存在している事自体が私の指摘する「ギャンブルリスク教育」の不足の象徴です。