任期付き助教は、任期付き羊の夢をみるか?

任期制を導入した人たちは、任期付き羊の夢など見ないだろう。

Methods in Next Generation Sequencing 誌が休刊

オンラインジャーナルのブームにのり登場したMethods in Next Generation Sequencing 誌が、論文原稿の受付を取り止めた。

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2012年に始まり、これまで2巻までしか出ていなかった…。
雑誌名が良かっただけに残念…。

世界的なジャーナル乱立時期に生き残るには、容易ではない。
これからこの様な運命を辿る雑誌は増えていくだろう。

Kindle Oasis が発売となるものの、1g軽くするのに450円かかる。

新型KindleKindle Oasisが発売される。

www.amazon.co.jp

 

以前のモデルより軽量で電池が長持ちということが売りであるが、

お値段は35,980円とかなり高め

画面サイズ(6インチ)や容量(4Gb)は他のモデルと変わらず。

新しいデザインになって使いやすくなったと言うが、

旧モデルで画面の下を持って読むことが好きだったブログ主には使いにくそう…。

 

軽量(131g)を謳うこのモデルであるが、現行の最下位モデルは8980円で191gである。

重量と価格だけを見ると、60gを減らすのに27,000円もかかっている。

1gあたり450円となる計算だ。

450円あれば安めの電子書籍も買えてしまうのに…。

ブログ主は旧モデル(221g)でも重さにはまったく不満は感じていないので、この軽量化がどれだけ魅力につながるかは疑問だ。

 

PDFなどを扱いやすくして、大画面モデル(7.9インチぐらい)なら、

この価格でも新しい需要が望めるかもしれないが、

他のモデルとだだかぶりでは…どうなんでしょう。

 

電子書籍は、「安い」「本が気軽に買える」「おき場所に困らない」が利点だと思うので、その原則から外れてしまっていると思う。

 

高価格帯を狙うなら、既存のKindleソニーのDPT-S1の間ぐらいの端末を開発して欲しかった。

 

「勝ち組」「セレブ」「老害」-よく間違って使われる新出言葉

「勝ち組」や「セレブ」という言葉が使われ始めたのは、2000年代に入ってからだろうか?

老害」はそれよりも少し後になってからだろうか。

新しく出てきた言葉であるから、「正しい」「正しくない」の定義は曖昧であろうが、この3つはもともとの意味とは明らかに違う文脈で使われることが多い。

 

「セレブ」

ただの「お金持ち」という意味で使われることが多い。

例)今日は5000円のランチコースで、セレブな気分だ

 

しかし、元の意味はセレブリティの略で「著名人(多くの人に知られている人こと)」

特にファッションなどで一般人に影響を与える人のことをイメージすれば分かりやすいだろう。

著名人のなかには、お金持ちが多いからこの間違った使い方が広まったのだろう。

お金持ちでも無名であればセレブではないし、貧乏でも有名であればセレブだ。

 

「勝ち組」

「負け組」の反対語であるが、いい立場に就けた人などの意味で使われることが多い。

例)同窓会行ったら俺意外と勝ち組だった。高卒だけど嫁看護師で俺管理職だから世帯年収1200万くらいあるんだ。

 

元々の意味は「見合うだけの能力がないのに、高い報酬などを受け取っている人たち」ことである。

なので、野球のイチロー選手やサッカーの本田選手などは勝ち組と呼ぶことは間違い

なぜなら、十分な能力を備えているからだ。

くれぐれも「佐藤先輩!係長に昇進するなんて勝ち組ですね。うらやましいです。」なんて言わない様に気をつけましょう。

 

ニュースサイトでも間違った意味で使われる「勝ち組」(↓)

売上高10兆円へ足踏みのワケ-「電機勝ち組」パナソニックと日立製作所

 

老害

だたジャマな老人の意味で使われがちであるが、本来の意味は硬直した考え方の高齢者が指導的立場を占め、組織の活力が失われること広辞苑)」

なので、個人に対して「老害」と用いるのは間違った用法

 

ニュース記事でもよく間違った使い方される。

老害化した天才経営者・鈴木セブン&アイ会長、なぜ退任に?一介の雇われ経営者の末路 | ビジネスジャーナル

老害・森喜朗が中日新聞を恫喝「オリンピックを批判する新聞とは契約しない」 - Ameba News [アメーバニュース]

 

ニュース記事などでも間違って使われるのだから、個人でも間違って使ってしまっても仕方がないとは思う。

しかし、記者さんたちはもっと言葉に気をつけて記事を書くべきじゃないかな。

これまで、何人のゲノム(ヒトゲノム)がシークエンスされたか?

2003年に(一応は)完了したヒトゲノム計画。

10年以上かかったものの、この計画では最初のヒトゲノムの解読に成功した。

その後の次世代シークエンサーの登場によりシークエンス解析の速度の急加速し、

現在ではヒトゲノムの解読は数日以内で可能だ。

 

ヒトゲノム計画以降、1000人ゲノム計画が2008年に始まった。

2012年には既に、ゲノムの解読された人数は1000人を突破した。

さらに最新の情報では、これまでに2500人のゲノムが解読されたという。

 

最初の1人目のゲノム解読には10年以上かかったことを考えると、

2008年以降の10年足らずで2500人のゲノムが解読されたというのは驚きかもしれない。

しかし、現在の技術からみれば2500人というのは少なすぎるのだ。

これまでに発表されたのが2500人だけだということであり、未発表のものも含めると全世界で何人のゲノムが解読されているかというのは明らかではない。

 

しかし、ある程度の推測は出来る。

この分野をリードしているクレイグ・ヴェンターが率いるHuman Longevity(HLI,米国)では、これまでに20000人のゲノムを解読している。

Craig Venter: Critical Tools and Technologies in Synthetic Genomics | GEN Magazine Articles | GEN

現在、HLIでは月に3000人のペースで解読を進めているが、将来的には月に10000人のペースを目指すという。

年間で10万人以上である。

 

この分野に熱心な国は、アメリカ、中国、シンガポールだろう。

日本はあまり熱心な様には見えない。

HLIのような大規模なシークエンス能力を持った施設は、世界中を見渡してもほとんどない。

であるから、世界中でこれまでに解読されたヒトゲノムの数は、多めに見積もっても20万人程ではないだろうか?

 

 

しかし、今日のYahoo! ニュースに以下のようなものがあった。

 

難病遺伝子あるのに健康な人を発見、約60万人から13人

 

深刻な病気や死の宣告をもたらしていたはずの遺伝子変異がある人が、ごく少人数ながら健康な人の中にも存在することを発見したとの研究結果が11日、英科学誌「ネイチャー・バイオテクノロジー(Nature Biotechnology)」(電子版)に発表された。

(中略)

シャット教授は、同僚のスティーブン・フレンド(Stephen Friend)氏とロン・チェン(Rong Chen)氏とともに、研究者30人からなるチームを率いて、約60万人のゲノム(全遺伝情報)から得られた900個近い遺伝子に関するデータのふるい分けを実施し、数百種類の異なる遺伝病のどれかの原因となる明確な変異を探した。(以下略)

難病遺伝子あるのに健康な人を発見、約60万人から13人 研究 (AFP=時事) - Yahoo!ニュースより引用。太字はブログ主が変更)

 

病気の遺伝子(より正確にはアリル)を持った人でも、少数ながら健康に過ごしている人もいるという発見だ。

この発見自体はすばらしい。

しかし問題は、「約60万人のゲノム(全遺伝情報)」という部分だ。

多めに見積もっても現在まで20万人分ぐらいしか解読できていないヒトゲノムなのに、60万人分のゲノム情報など一体どこにあるというのだ。

 

そこで、このニュースの元となった論文を探してみることに。

(以下、元となった論文へのリンク)

http://www.nature.com/nbt/journal/vaop/ncurrent/full/nbt.3514.html

Nature Biotechnologyは購読していないので、論文は入手できなかったものの、関連情報は閲覧することが出来た(以下のリンク)。

Workflow of the retrospective Resilience Project to build allele and gene panels and interrogate existing sequencing data : Analysis of 589,306 genomes identifies individuals resilient to severe Mendelian childhood diseases : Nature Biotechnology : Nature Publishing Group

それには、利用したデータは、

① 7万人分の全ゲノムもしくはトランスクリプトームと、

② 52万人分のジェのタイピング

であると書かれてる。

つまり、約60万人のゲノム(全遺伝情報)」というのは不正確である。

 

「ゲノム(全遺伝情報)」と言ってしまえば、「全ゲノム」を意味し、本当に個人の全てのゲノムの情報を意味するだろう。

トランスクリプトームは、ゲノムの一部であり全ゲノムからすれば通常は1%未満である。

ジェノタイピングデータは、通常はトランスクリプトームデータより更に少ない。

 

この記事を書き直すとしたら、約60万人のゲノム関連情報」といったところであろうか?

科学関連記事は、一般の人にも誤解のないような書き方をしてもらいたいものです。

 

 

西川伸一氏の最新記事の誤字脱字が直されるが、「2013年1月28日」は放置される

ネットストーカーのブログ主です。
 

誤字脱字の目立つ記事をたびたび投稿している西川伸一氏。

先日、西川氏の最新記事の誤字脱字を指摘しました。
 
以前に西川氏は、記事投稿後に彼の知人に誤字脱字を指摘してもらい、校正をしていると言ってました。
今回もその知人に協力してもらい校正したのだろうと思います。
以下が、問題の記事です。
 
そして、以下が修正前と修正後の比較です(上記記事より引用)。
 
修正箇所その1
 
修正前 (句読点が余計)
原則として全て受けるようにしている。講義ではできるだけ21世紀の生命科学全般に共通する課題について話をする。
修正後
原則として全て受けるようにしている。講義ではできるだけ21世紀の生命科学全般に共通する課題について話をする。
 
 
修正箇所その2
 
修正前 (薬る)
ネットで送られてきた病気やゲノムのデータを元に各人に合致した薬を作ってくれる未来の薬る
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「薬る」の部分のスクリーンショット(↑)

修正後
ネットで送られてきた病気やゲノムのデータを元に各人に合致した薬を作ってくれる未来の薬局だ。
 
 
上記の2点に加えて、ピアツーピアとなっていた箇所は、P2Pに変えられました。
P2Pの方が読みやすいと思います。
 
しかし、創薬と製薬の混同は修正されずそのまま。
大量の薬剤を一挙に時間をかけて作ることが前提になっている中央集権的創薬を根本的に見直さないと、
中途半端な校正である気がしますが、この記事が校正されているならば、その前に投稿されたSTAP細胞関連の記事も校正済みのはずです。
しかし、問題の2013年1月28日は相変わらずそのまま。
いつになったら西川氏はこの間違いに気がつくのでしょうか?

千葉大学の学部卒で中小企業勤務だと人格を疑われるけど、入学希望者数は変わらないから大丈夫と励まされる謎な件

大学ジャーナリストを名乗る石渡嶺司氏。

先日、彼の記事の問題点を述べた。
 
 
容疑者の内定先を突き止め、内定先が中小企業だからと言ってアレコレと容疑者の人格などを憶測し批判する石渡氏。
記事の中で、容疑者が大学院に進学せずに中小企業に就職しようとした理由を以下のように分析する。

1.コミュニケーション能力がかなり低く、就活に失敗した

2.勉強をきちんとアピールできなかったので、就活に失敗した

3.家業を継ぐための準備として関連企業に就職することにした

4.防犯グッズなどを悪用するために関連企業に就職することにした

5.就活自体が面倒で、何らかの縁があるところに即決した

千葉大の卒業留保が正しく、容疑者の企業選びが謎な件(石渡嶺司) - 個人 - Yahoo!ニュースより)

コミュニケーション能力がかなり低く」や「就活自体が面倒」など容疑者を見下したような表現も含まれる。
このような書き方では、千葉大学の学部卒の人たちへの風評被害になりかねないのではないだろうか?
ほとんどが憶測に基づいたことばかりの記事に何の価値があるかは不明だが、溺れた犬は徹底的に叩くという日本のジャーナリズムの悪い面がよく分かる。
 
ところが、さすがにこれはやりすぎたと思ったのか、石渡嶺司氏は千葉大学を励ます記事を投稿した
 

bylines.news.yahoo.co.jp

要は「入学志望者の数は大きな事件があっても変わらないから大丈夫」というブログ主には意味の分からない論理。

風評被害に合うのは卒業生や卒業間近の学生なんですけど…。

それを入学志望者数は変わらないから千葉大学(もちろん学生や卒業生ではなく「大学側」)は大丈夫と言われても…。

 

風評被害に合うことを心配している学生などには、次のようにコメントする石渡嶺司氏。

「でも、影響がゼロでない、ということはやっぱりあるんですよね」

こういうことを言い出す千葉大生がいるかもしれません。

だからね、ゼロかゼロでないか、と言えばゼロではないわけですよ。

ゼロではないですけど、それは大勢からすれば誤差の範囲内で実質的にはゼロに近いわけです。

千葉大では2009年にキャリア講演をしたことがあります。そのときに気になったのが、些細なことまで気にしすぎる学生です。

これは千葉大だけでなく、難関国公立大ではそこそこいます。

優秀だからこそかもしれませんが、やるだけやってダメならダメでまた考えればいいのに、と思います。

(上記サイトより引用)

つまりは

「私(石渡氏)が記事で何を書こうと、それが元で風評被害が起きようと、知ったことではない。そんな事でウジウジする学生が悪い!」

と言う事だろう。

「ゼロかゼロでないか、と言えばゼロではないわけですよ。」と言うなら、まずはご自身の記事の問題となりかねない部分を訂正したらどうだろうか?

 

 

「5年前のMacBookを買い換えて」で、「iPhone SEが売れていない」と書かれる

発売以来、肯定的な記事と否定的な記事が入り乱れるiPhone SE。

肯定的にしろ、否定的にしろ記事になれば宣伝となるので、iPhone SEの売り上げには貢献するだろう。
しかし、とある記者が否定的な記事を書く理由は、新製品発表会でのアップルの副社長のコメントが気に入らなかったからのようだ。
 
 
アップルが3月21日に行った9.7インチiPad Proの発表は、後味の悪い印象を残した。プレゼンの場で筆者が最も気になったのはフィル・シラー上級副社長の次のような発言だ。
「現在、世界には5年以上前のPCが6億台以上もあります。これは本当に悲しいことです」と彼は語ったのだ。
伝説的なスティーブ・ジョブズのプレゼンに比べると、今のアップルのプレゼンには緻密さが感じられない。(上記サイトより)
 
この記者は2011モデルのMacBook Proを持っているらしく、このコメントに相当傷ついたらしい。
 
報復としてか知らないけど、アップルに厳しい記事を2つ続けて書く。
 
 
 
1報目の中の「米国版サムスン」という言い回しは批判としては微妙な気がする…。
「米国版サムスン(=アップル)」と「韓国のサムスン」。
アメリカと韓国を比べたら経済規模などいろいろな面で アメリカ>韓国 なのだから、やっぱり 「米国版サムスン(=アップル)」>「韓国のサムスン」という事だろうか?
 
2報目の記事のシェアの話題も微妙である。
アメリカやイギリスなどの主要国でもiPhone SEが手元に届くまで数週間待たされているようだ。
注文しても、まだ手元に届いていない人は多い。
 
 
iPhone 6sなどでも同様な事があっただろう。
しかし、メーカー側の問題で供給が追いついていない時に、シェアで人気を憶測してもあまり意味がないだろう。
その時点でのシェアは「人気」よりも「供給量」により依存するからだ。
 
一方、日本国内ではiPhone SEはそこそこ人気があるようだ。