任期付き助教は、任期付き羊の夢をみるか?

任期制を導入した人たちは、任期付き羊の夢など見ないだろう。

千葉大学に入ったのに、大学院にも進学せずに中小企業に就職すると大学ジャーナリストに人格まで疑われる謎な件

「時間さかのぼり理論」の提唱で世間を騒がせた千葉大学

 

どうやら、何が何でも誘拐の容疑者を卒業生としたくない千葉大学は、

卒業認定取り消し→保留

とすることを3月31日に決めた。

 

この「卒業認定取り消し」で議論が起きているが、大学ジャーナリストを名乗る石渡嶺司氏の記事が、あまりにジャーナリストらしくない謎な件。

 

bylines.news.yahoo.co.jp

上記サイトの魚拓

 

卒業認定取り消し」に関して、大学の規定に学士*の取り消しが無く、大学側の処分の根拠が曖昧という意見がある(つまりは「卒業取り消し反対」)

*大学の学部を卒業すると得られる学位 

 

 

これに対して、碓井真史氏(大学教授)は以下のように解説する。

 

また千葉大学の「学位授与取り消し規定」は修士博士の規定であって、学士の取り消し規定はないとの指摘もありました(「誘拐事件に関し、千葉大が卒業取り消しを検討することは「推定無罪」の原則に反する」)。

確かにその通りのようですが、今回は千葉大学の学士の学位授与の方針に基づき、学士を与えられるにふさわしくない恐れがあるために、「一旦、卒業認定及び学位授与を取り消し、卒業を留保」です。

もしも後になって無罪ということになれば、保留を解くのでしょう。

(なお、以前は学位とは修士や博士のことで、学士は称号でしたが、現在では全て学位とされます。)

がんばれ千葉大2:尾木ママ先生のご批判もありますが:事件で傷つくすべての人のために(碓井真史) - 個人 - Yahoo!ニュースより引用

 

これを誤読してしまった大学ジャーナリスト石渡嶺司氏。

 

以前に

千葉大学の学位規程には第21条に『学位授与の取り消し』という項目がありますが対象は修士や博士であり、大学卒業の『学士』は含まれていません

 

とコメントした藤代裕之氏に対して、

石渡嶺司氏は、

 

藤代氏は学位規定に「学士」がない、としていますが、これは誤解ですね。

Yahoo!オーサーの碓井真史氏(新潟青陵大教授)が

がんばれ千葉大2:尾木ママ先生のご批判もありますが:事件で傷つくすべての人のために

の中で、解説してくれていました。

「なお、以前は学位とは修士や博士のことで、学士は称号でしたが、現在では全て学位とされます」

千葉大の学位規定にも、第2条にこうあります。

「第2条 本学において授与する学位は,学士,修士,博士及び専門職学位とする」この点、藤代氏は誤解されているのではないでしょうか

上記の石渡嶺司氏記事より引用

 

 

と反論。これは誤解ですね。

なぜ、誤解かというと問題の千葉大学の学位規程第21条を見てみると、

 

第21条 修士若しくは博士の学位又は専門職学位を授与された者が,その名誉を汚辱する行為があったとき,又は不正の方法により修士若しくは博士の学位又は専門職学位の授与を受けた事実が判明したときは,学長は,教授会の意見を聴いて,学位の授与を取り消し,学位記を還付させることがある。

 

となっている。

つまり、第21条に書かれている学位取り消しの範囲には学士は含まれていなく、藤代裕之氏が正しい。

碓井真史氏の文章は若干紛らわしい部分もあるが、問題となっている第21条を確認すれば彼の言うことを誤解せずに、ちゃんと理解できる。

大学ジャーナリストを名乗りながら事実確認もしていなかったのだろうか?

 

そして、石渡嶺司氏の大学ジャーナリストらしからぬ発言は続く。

「なぜ学部卒で就職?」「なぜA社?」と題された部分では、千葉大学などの難関大学を卒業した学生の過半数は大学院に進学すると説明し、進学をしない場合には以下のような理由が考えられると、石渡嶺司氏は説明する。

 

1.所属学科での専門が修士に進学しても、それほど期待できない(それくらい、専門分野が狭すぎる)
2.所属学科での研究に見切りをつけた
3.奨学金返済を考えて早く就職したい

上記の石渡嶺司氏記事より引用

 

 

そして上記の3つに当てはまらず、就職先が中小企業などの場合は以下のような問題が学生側にあったと推測する。

 

1.コミュニケーション能力がかなり低く、就活に失敗した
2.勉強をきちんとアピールできなかったので、就活に失敗した
3.家業を継ぐための準備として関連企業に就職することにした
4.防犯グッズなどを悪用するために関連企業に就職することにした
5.就活自体が面倒で、何らかの縁があるところに即決した

上記の石渡嶺司氏記事より引用

 

 

どうやら、千葉大学に入ったのに大学院にも進学せずに中小企業に就職すると人格まで疑われる、ようだ。

一連の報道で風評被害を心配する石渡嶺司氏。

しかし、この石渡嶺司氏の記事のほうが千葉大学卒で中小企業に勤める人たちに対する風評被害になりかねないのではないだろうか?


この記事には続報があります↓

千葉大学の学部卒で中小企業勤務だと人格を疑われるけど、入学希望者数は変わらないから大丈夫と励まされる謎な件 - 任期付き助教は、任期付き羊の夢をみるか?