最初に何割かの学生が就職できなくなったとき、
最初に何割かの学生が就職できなくなったとき、
私は声をあげなかった。
どうせ就職できないのは真面目でない学生だろうと思ったから。
次にポスドクの待遇の悪さが話題となったとき、
やや不安を感じたが、私は声をあげなかった。
ポスドクというのは修行の時期で苦労すべきだと思ったから。
次に大学教員の任期付ポストの割合が急増したとき、
私の不安はやや増大したが、私は声をあげなかった。
私は任期付の教員ではなかったから。
最後に、私たちに魔の手が襲い掛かったとき、
私たちの為に声をあげてくれる人は、すでにいなかった。
既に、学生も、ポスドクも、任期付教員も
私たちより、もっと酷い環境に追いやられいた。
私たちの周りには、同情してくれる人はいなくなっていた。
(とある正規大学教員の話を元に創作)