任期付き助教は、任期付き羊の夢をみるか?

任期制を導入した人たちは、任期付き羊の夢など見ないだろう。

小保方氏のホームページは相手にしないのが正解だが…

突如、ネット上に現れたSTAP細胞作製手順紹介サイト「STAP HOPE PAGE」。
出現したのが4月1日直前であったため、ネタかとも思われたが、2日以降も「ネタバレ」はなくどうやら本気のサイトらしい。
開始直後にはアクセスが殺到し、一時的に閲覧できないほどであったようだが、専門家の意見は冷静である。

小保方氏の疑問に答える(追記):HPについて(小野昌弘) - 個人 - Yahoo!ニュース


ブログ主も同様に、騒ぐほどのものでは無いと思う。

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(↑)STAP細胞騒動を紹介するNEW YORKER誌の記事。本記事とはあまり関係ありません。

ネット上では小保方氏は手記から入る印税やクラウドファンディングで独自に研究したらどうか、という意見もある。
確かに3000万円とも言われる印税に加え、小保方氏の人気*を利用したクラウドファンディング資金を集めれば、ベンチャー企業ぐらいは始められそうである。
しかし、実際にはその程度の資金で自前の研究室を持っても設備も限られたものになるだろう**。
小保方氏個人では、研究の続行はほぼ不可能であろう。
* この人気の出どころは、ブログ主には全く不明である
** 更には研究の続行には動物実験に関する倫理など専門的な助言も必要になるだろう。

しかし、それだけ資金があるならば、既に研究環境が整っているグループに再現実験を依頼することぐらいは可能であろう***。
現状では、ヤブヘビになりかねない小保方氏への協力を名乗り出るグループはいないだろうし、小保方氏が直接交渉をしても協力は得られ難いと思う。
全国の小保方ファンは、印税やクラウドファンディングで研究をと主張するぐらいなら、そのような協力してくれるグループを探してみるのはいかがであろうか?
*** だがこの場合、再現性を確認できる結果が得られたとしても、小保方氏の資金での研究として、注釈付きの実験成功になるだろう。

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(↑)小保方氏の手記には多数の高評価のコメントが寄せられている(アマゾンより)。


学術界からは相手にされていない「STAP HOPE PAGE」だが、ブログ主は少し注目している。
生命科学の分野では、科学論文の査読システムが機能していない上に、商業的ジャーナルの乱立により論文執筆の意義が問い直されている。
論文の掲載料や出版までの手間を考えれば、既にブログ主にとっては論文執筆は割の合わない仕事だ。
しかし、科学における論文の意義は尊重するべきだし、ブログ主には研究結果を世間に発表する義務もある。
そこで考えていたのは、独自にサイトを作り発表するか、プレプリントという査読の無い論文での発表である。
前者は今回の小保方氏の行動と同じだが、後者の方が良いというのがブログ主の結論だ。
なぜなら、プレプリントは査読が無い分、論文としては「半人前」だが、「誰が」「いつ」「何を」発表したかを第3者が記録してくれる。
更には、コストも少なくて済む。
例えば、先日紹介したPeerJならば、メンバーシップさえ持っていれば、無料でプレプリントを出版できる。


手記で科学を続ける意思はあることを述べた小保方氏。
このサイトの作製が最初の取り組みだったのであろう。
ならば、次の取り組みとしてプレプリントに投稿してみたらどうだろうか?