任期付き助教は、任期付き羊の夢をみるか?

任期制を導入した人たちは、任期付き羊の夢など見ないだろう。

2016年度の卓越研究員制度では80人も救われない・・・-卓越研究員制度の疑問点-

ポスドク(+任期付き助教など)のうち150人程が卓越研究員制度で救われる見込みという記事を投稿したが、どうやら2016年度の卓越研究員制度で救われるのは80人以下になる様子。

 

letsseq.hatenablog.com

 

 

 

各企業や研究機関より応募のあったポストのリストが公開された。

リストに掲載されているポストの総数は317。

勤務形態(雇用形態)で分類すると、

テニュアトラック雇用が168

その他任期つきが72

と、任期つき雇用が大多数を占める。

 

無期雇用は77のみ…。

 ポスドクの皆さんは無期雇用を望んでると思うんですがね…。

たとえ卓越研究員制度に選ばれても、多くの場合は任期つき雇用を脱するには更なる審査を通過する必要がある様です。

 

 

 

更には、分野でポスト数も大きく異なり、文系ポスト(社会科学、人文学、総合人文社会の合計)は17のみ…。

(一方理系は250で工学のみでも77。) 

 

 

文系の博士号取得者の数のほうが理系よりも少ないことから、この偏りは仕方の無いことかもしれない。

しかし、法学や文化人類学や地域研究のようにポストが1つしかない分野もある。

こういう数の少ない分野は無視されてしまうのだろうか?

それとも、ポスト応募がゼロとならないようにそれぞれの分野で卓越研究員を最低1人は確保するのであろうか?

(しかし、その場合には150人程度という枠があるため、他の分野の人が泣きを見るような結果になるのではないだろうか?)

卓越研究員制度のカラクリと問題点と題した記事で、専門分野間でのポスト数の偏りが問題になるだろうと予想したが、それが現実になりそうだ。

 

最初から疑問に感じていたことだが、文部科学省側は卓越研究員を150人程度にまで絞る必要性があるのだろうか?

 この絞込みのせいで、せっかくポストが300もあるというのに、その全ては埋まらなくなるだろう(ポストの大半は任期つきだが…)。

 

文部科学省研究者の(雇用の)流動性を重視しているようであり、この卓越研究員制度もそのために行われるようだ。

しかし現実に起きていることは多数の研究者にとっては雇用の流動化ではなく、雇用の不安定化である。

「流動化」「流動化」と唱える文部科学省に聞きたい。

文部科学省の自体は一体どれ位「流動化」しているのであろうか?

任期制、テニュアトラック制がそんなに良いものであるなら、まずは文部科学省に導入したらいかがだろうか?