任期付き助教は、任期付き羊の夢をみるか?

任期制を導入した人たちは、任期付き羊の夢など見ないだろう。

「ショーンK氏の成り上がり方(May_Roma氏著)」に学ぶシークエンサーの売り方

 
「何となくすごそうな英語」や「キーワードさえ身につけてれば賢そうに見える」ってのは現在のシークエンサー業界と同じように感じる。
なので、新シークエンサー発売ラッシュのなかで生き残るための売り方を考えた。

 

1. 取り敢えず「ハイスループット」と言っておく
一番アウトプットが小さいサンガーシークエンサーでも「ハイスループット」なんだから、もはやどんなシークエンサーでもハイスループットだ(下図参照)。でも、シークエンサーの性能が良くなかった頃に苦労を重ねた50代や60代のオジさん達*は、ハイスループットって言葉にとても敏感だ。だから取り敢えず「ハイスループット」って言っておく。もちろんアウトプットに関する数字はクレームが付かないぐらいに盛っておこう。25Mリードなんて運のいいときだけしか出てこないよー
*研究費の使い方を決めるのは結局は50代や60代の方々
 
2.「デスクトップ型」と言っておけば安心
「アウトプットは大きい方が良いのに、本体は小さくなきゃヤダ」っていう風にいつも悩んでいるのが、50代や60代のオジさん達。壊れた遠心機とか古くなったPCR機とか捨てれば、スペースなんかいくらでもできるけど、捨てるって言う決断が出来ない。そんなオジさん達には、「デスクトップ型」って一言付け加えて安心感を引き出す。でも、いつも買ってからきがつくんだよねー、実際にはデスクに収まり切らないって
 
3.「なんとかテクノロジーでロングリードが実現」
「なんとか」の部分にはテクノロジーの詳細にもとづいた名前じゃなくて、独自のネーミングを入れよう。どうせ具体的な名前を入れても理解してもらえないんだし。そして時代はシークエンスの精度ではなく、ロングリード。ロングリードっても明確な定義はないから、数百ベースでも数キロベースでもロングリードと言ってしまえばロングリードになっちゃうし。とにかく何でも良いから「ロングリード」を連発。
 
4.「ヒト全ゲノム」と「de novo で解読」も忘れずに
「ヒト全ゲノム」ってのがオジさん達の若い頃の夢だった。だから、ヒトゲノムなんか関係しない分野のオジさんでも、「ヒト全ゲノム」って聞くと「なんかすごい」と勝手に思ってくれる。あとは「de novo」。de novoなんてそれぞれの生物種で一回できれば十分なのに、なぜかde novo解析に向いているシークエンサーをオジさん達は欲しがる。「ヒト全ゲノムをde novoで解析可能」とか言えば、オジさん達なんてイチコロさ。
 
5. 本体は安めで、後から関連製品で利益を上げる
そんな夢を追い続けているオジさん達だけど、獲得できる予算にはかぎりがある。だいたい今頃シークエンサーを導入するラボなんて、シークエンスの必要性が大して無いような所ばかりだから、まとまったお金なんて準備していない。初期投入は少なめに見える方が売れるに決まっている。で、あとで試薬代なんかで儲けをだせばOK。某人気シークエンサーなんて「本体が$1000」とか謳っておきながら、実際に買うとなれば配送費や手数料なんかで$500も取りやがるんだぜ!
 
 
結論: 用語の意味なんて分からなくても良い。
とにかく「ハイスループット」「デスクトップ型」「なんとかテクノロジー」「ロングリード」「ヒト全ゲノム」「de novo 」と唱えよ!