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任期制を導入した人たちは、任期付き羊の夢など見ないだろう。

MiniSeq がヒットしないと思う5つの理由

イルミナのMiniSeqの発売を記念して、コンペティションが行われている。

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MiniSeq の使い方で最も優れた研究アイデアを提案した人には、MiniSeqと乗用車のMiniがプレゼントされるというのだ。

 

…一体、どういう層をターゲットにしているのだろうか?

「あー、ちょうどウチの研究室も、小型シークエンサと小型車を買おうとしてたんだよねー。」という状況が想像できない。

たとえ、個人でコンペティションに参加したとしても

公的な研究所に所属する人なら、私的に車を受け取るのは問題になりかねない。

かと言って、研究室にいきなり車が送られて来ても…。

しかも、ミニクーパー

せめて、iPad mini ぐらいにしておけば…。

 

発売記念キャンペーンからして雲行きが怪しそうなMiniSeqですが、MiniSeqがヒットしないだろうと思う理由を5つ。

 

理由1: 名前がMiSeqと被っている。

 

「MiSeqより小型」という売りで、イルミナシークエンサーの利用者の裾野を広げたいという思惑だろう。

しかし、これまでイルミナシークエンサーと縁が無かった人からすれば、MiSeqもMiniSeqもはっきりとは区別がつかないだろう。

MiSeqが有名なだけに、MiniSeqという名前じゃ、MiSeqの模造品だと誤解されるリスクもありそう。

 

 

理由2: 性能もMiSeqと被っている

 

MiniSeqの最大アウトプットは7.5Gbpで、MiSeqの15Gbpよりも小さいのは仕方ない。

しかし、MiniSeqの最小アウトプットは2Gbpで、MiSeqの300Mbpよりも大きい。

つまり、MiniSeqは本体の大きさだけでなく、利用範囲もMiSeqよりもだいぶ小さい。

 

 

理由3: 価格が中途半端。

 

MiniSeqの価格は600万円程度と、MiSeqの半分ぐらいだ。

5年前なら安さで話題作りもできただったろうが、近年の低価格シークエンサーの発売ラッシュのなかでは、もうこの価格では話題性も無い。

イルミナは、MiniSeqのシークエンサー本体を売って利益を出すのでは無く、関連試薬を売って利益を出すつもりであろう。

それならいっそうの事、MiniSeq自体を無料でリースしてしまった方が話題性はあっただろう。

その代わり、設置代やサポート代や、試薬キットを10個程度まとめたスターターパックを販売して、資金を回収したらどうだろうか?

 

 

理由4: NextSeqと同じ2色蛍光システム。

 

試薬コストを抑えるため、2色蛍光システムを利用しているが、そのため利用目的が制限されてしまう。

言うまでも無いが、2色蛍光システムは評判が良く無い。

 

 

理由5: MiSeq のバージョンアップが真近かもしれない。

 

以前より、MiSeqの2x400bpキット発売の噂がある。

これを裏付けるようの、去年のMiSeqのソフトウェアのアップデートでは長いDNAフラグメント(800bp程度)のクラスター形成が良くなった(気がする)。

2x400bpキットが発売されなくても、v3キットが発売され始めてから既に数年が過ぎている。

そろそろ大幅な価格改定やラインナップの更新があってもおかしくはない。

競合するMiSeqの使い勝手が良くなれば、MiniSeqの魅力も落ちてしまうだろう。

 

 

DNAシークエンスの分野でリードしてきたイルミナだが、低価格の小型シークエンサーの分野では他社より出遅れた感じがする。

イルミナの強みはHiSeqやHiSeq10Xのような汎用性の高いシークエンサーにあって、小型シークエンサーの分野には無いのかもしれない。